備後歴史探訪倶楽部

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外堀

   

外堀
外堀は三の丸の外周を囲むため平野部を掘削して築かれた長大な水堀である。外堀の形状は正方形に近いが、これは築城以前の三の丸が平坦な湿地帯であったため、掘削に大きな障害がなく軍学に基づいた規則的な配置が可能だったからだろう。ただし、西側中央部では何故か堀が分岐し一方は三の丸を分断するように二の丸まで入り組み、もう一方は北側に延びて途中で終わっている。そして北側の堀が途切れた先は平地が広がり施設は何も設けられなかった。堀がないことは大坂の陣の例を見ても明らかなように防備を極めて脆弱にするものであるが、これを補う石塁や土塁さえ築かれていない。そのため、ここは未完成で本来は更に北に堀を延長させる計画であったと考えられる。また、北西外堀に接する三の丸塁線のみは石垣でなく土塁で築かれている。その理由は正確にはわかっていないが、ここに接する堀は他の部分より1間(約1.81m)程深く掘られているので、湧水や地質等により石垣の構築が技術的に困難であったか、他の部分よりもコスト高になるのを嫌ったのかもしれない。

 - 三の丸