東門
東門は東外堀に面する三の丸南東にあった櫓門である。虎口は外枡形が用いられていた。枡形の入口は南側に設けられ木橋が架けられていた。
三の丸の塁線は基本的に石垣のみであるが、東門の周囲には土塀が設置される他、前後には二重櫓も建てられるなど、三の丸の門では大手門と並んで最も厳重な防備がなされていた。また外枡形に土塀を設けるのも大手門と東門のみであった。これは大手門と東門との間に海からの進入路(入川)があったため、これに対する防衛を考えてのことのようだ。城下から東門の外枡形に入ると左手に櫓門があり、これを潜ると正面に番所が設置されていた。外枡形は大手門よりは小振り(92坪)で南北方向に縦長の形状となっていた。番所を鉤の字に折れると西方向に内堀まで一直線の大通りとなっていた。
門の正確な形状は明らかでなく、写真も残されていないので絵図などによってしか姿を忍ぶことしかできない。廃城後早くに取り壊され、跡地は外枡形も含めて山陽鉄道の線路となり、現在は「福山サントーク」となっている。このため遺構は完全に消滅していると思われる。尚、現在の駅北口駐車場に存在する石垣の遺構を南に真っ直ぐ伸ばしたラインに東門のかつての位置を想像することができるだろう。